一般社団法人 全日本カイロプラクティック学会(ANCA)
長尾正博 吉野俊司 山崎善秀

目的

原因不明と診断された右下腿後面の疼痛に3ヶ月悩まされた方が、カイロプラクティックの介入で改善できた一症例を報告すること。

症例

 Mさん,67才、男性、無職、症状は右足の痛み

現病歴

Mさんは毎日2~3kmのウォーキングを行っていたが、ある日、突然右足に我慢できない痛みが生じ、右足はつま先で一瞬体重を支えることしか出来ない状態となった。病院でレントゲン検査は異常なし、原因は不明ですと診断され、湿布を処方されたが疼痛は継続し、再度診察を受けても湿布を処方されただけで痛みは引かず、100m歩くことも出来なかった。自分で各種市販薬も試したが、改善せず3ヶ月が経過した。

所見・評価

 痛みの評価はVAS値(0~100)を用いた。
・右足先に少し体重をかけると強い痛みありVAS=90。
・触診により右下腿後面を指で圧迫すると、数カ所で強い痛みありVAS=90。
 数カ所の筋拘縮がみられ、それが継続したため癒着になり、それが痛みの原因であろうと推察した。

施術・経過

  X年1月、右下腿後面の筋拘縮の軽減と癒着の緩和を目的に筋膜リリースを含むカイロプラクティックを開始した。全身のバランス修正を含む初回の施術でVAS=90からVAS=10まで改善され、右足に体重をかけて支障なく歩行できるようになった。その日から毎日2~3kmの散歩を再開した。2ヶ月後に2回目の施術でVAS=10からVAS=0まで改善できた。その後1年以上ADLに問題なく生活できている。

考察

 神経筋骨格を総合的に判断するカイロプラクティック診断により、右下腿後面の筋肉に異常を発見できたと考えられる。局所的な施術だけでなく、全身のバランス調整を行うことにより右下腿の過剰な負担を軽減し、正常な歩行の維持に役立っていると考える。

結論

本症例の原因不明と診断された右下腿後面の疼痛はカイロプラクティックで改善できた。