一般社団法人 全日本カイロプラクティック学会
◎松本吉正 松本清香 吉野俊司 長尾正博 山崎善秀

【目的】

 子宮筋腫に対する内視鏡手術後の疼痛管理にカイロプラクティックが一助となった1症例を報告する。

【方法】

Uさん、女性、60代、職業は看護師、主訴は子宮筋腫手術後の下腹部痛の軽減。
数年前より子宮筋腫が見つかり経過を見ていたが、X年2月に大きくなってきたということで摘出手術を内視鏡で行うことになった。手術は2時間半を予定していたが、癒着がひどく剥離しながらの手術の為に4時間かかった。手術後、下腹部にVAS 90の疼痛が発生し苦しんでいた。手術後に下腹部の疼痛が強く、経過観察の為、3日間入院した。退院翌日に疼痛の解消や体の調整を目的に当院を受診した。
カイロプラクティック診断では、下腹部痛は仙腸関節の可動域が減少していたことから、骨盤内の圧力上昇が考えられた。
疼痛の評価はVASを用いた。
骨盤内の圧力分散の為に仙腸関節の調整を中心にカイロプラクティックを行った。手術直後であることから伏臥位だと腹圧が上昇する為、手術箇所への影響を考慮して座位にて行った。

【結 果】

 施術後、VAS 90だった下腹部痛はVAS 10になった。経過観察の為、1週間後に来院。下腹部痛は強い力がかからなければ気にならない程度になっていた。

【結論】

 カイロプラクティックで骨格を調整し、可動域と柔軟性が回復した結果、骨盤内の圧力が下がり手術痕にかかる負担が軽減し自然寛解が容易になったと考えられる。本症例では、患者は看護師で近代医療の知識があり、以前からカイロプラクティックを経験していたことから、子宮筋腫に対し近代医療の手術、手術に起因する影響や疼痛管理にカイロプラクティックを選択したことで速やかに体調回復したと考える。したがって、患者主体の統合医療となりえると考察する。
 本症例では、子宮筋腫に対する内視鏡手術後の疼痛管理にカイロプラクティックが一助となった可能性がある。