一般社団法人 全日本カイロプラクティック学会
◎山崎善秀 吉野俊司 松本吉正 長尾正博
目的
当院ではカイロプラクティック(以下、カイロ)後、施術効果維持のため簡単な運動指導をしている。カイロの効果が簡単な運動指導で継続した一症例を報告する。
方法
Aさん、男性、65才、無職、主訴は右手首の痛み。X年4月、卓球の練習中に右手首に痛みを発症。練習後には右肘にまで痛みが広がり、ドアノブやペットボトルの蓋を回す動作が困難になってきた。手首を湿布で冷やしながら週3~4回の練習を続けていたが段々痛みが酷くなってきた。1か月後、器質的な問題よりも機能的な問題と判断し当院へ来院した。初診時、右手首伸展角度30°VAS 60、右肘伸展角度-10°VAS 20、右肩外転角度160°VAS 10。十分なストレッチをせずに卓球を行なったことでラケットを握る右手首に過度の負担がかかり手首から肘にかけて痛みが生じたと考えた。施術効果の維持が難しいため、継続的なストレッチ&エクササイズ(以下、S&E)が必要と判断した。評価は右手・右肘伸展、右肩外転角度及び痛みにVAS値を用いた。
結果
卓球による右上肢に過度な負担が症状の原因に成り得ると考え、X年5月、カイロを2度行ない、施術効果の維持を目的に右上肢の可動を滑らかに行えるようストレッチ&エクササイズ(以下、S&E)を1日2~3回行う指導をした。2度施術後、右手首伸展角度70°VAS 10、右肘伸展角度0°VAS 10、右肩外転角度180°VAS 0の状態でS&Eにより継続されている。
結論
卓球で右上肢を酷使することで手首から肘にかけて過度な負担がかかり、症状の原因になったと考える。施術後、右手首から肘、肩にかけて上肢のバランスが整ったことで関節の可動障害や痛みが改善されたと考える。カイロによる神経筋骨格系の調整と併用し、簡単に出来るS&Eが施術効果の維持に繋がっていると考える。本症例において、カイロの効果が簡単な運動指導で継続できた可能性がある。
- 投稿タグ
- カイロプラクティック, 医療指導, 卓球障害, 統合医療