一般社団法人 全日本カイロプラクティック学会
  ◎長尾正博 吉野俊司 松本吉正 山崎善秀

【目的】

 メニエール症候群のめまいがカイロプラクティックで改善できた一症例を報告する。

【方法】

 Tさん、女性、23歳、会社員、主訴はめまい。
 X-1年、週に2~3回突然意識がボーッとなり、めまいが発生するようになった。頭痛、頸肩部のこりもある。病院で診察を受けたが耳鼻科は異常なし、脳神経外科で脳のMRI検査も異常なし。原因不明のメニエール症候群と診断され、めまいを抑える薬を処方された。会社を1年休職、薬では改善せず、症状の改善を期待して家族の紹介でX年2月に当院を来院した。
 めまいの評価は発生頻度、疼痛の評価はVASを用いた。
 週2~3回めまいが発生。突然発生するめまいによる不安で運転も出来ない。頭痛、頸肩部のこり:VAS 60。
 以上のことから、全身の筋骨格アンバランスと可動制限による頸肩部のこりからめまいや頭痛が発生していると判断した。

【結果】

 X年2月、全身の筋骨格バランスと可動域改善を目的にカイロプラクティックを行った。
 1回の施術で頭痛、頸肩部のこりはVAS 0になり、めまいも治まったので本人の判断で薬の服用をやめた。3月に3回、4月に1回施術を受けた後、5月から職場に復帰した。カイロプラクティック施術後1ヶ月は良好な状態を維持できているが、1ヶ月を超えるとめまいが出始める。めまいは以前の4割位に弱まり、頻度も週1回程度である。めまい発生が頸肩部のこりと関連していることが分かり、患者の不安が軽減した。

【結論】

生活習慣等の影響で全身の筋骨格アンバランスと可動制限が起こり、神経・血管・筋肉等が強く圧迫されると疼痛が生じる。カイロプラクティックにより全身の筋骨格バランスと可動域を改善させたことで、めまい、頭痛、頸肩部のこりが解消できたと考察する。
 本症例により、メニエール症候群のめまいがカイロプラクティックで改善できた可能性がある。