一般社団法人 全日本カイロプラクティック学会
松本吉正 松本清香

背景

カイロプラクティック(以下C.P.)の語源は、ギリシャ語のChiro(手)とPrakticos(技術)である。しかし、その意味は単なる手技療法に留らず、その意味は諸説あり、表現方法も多彩である。C.P.は独自の哲学を有している。その根幹をなす用語「イネート・インテリジェンス(以下I.I.)」も同様に多彩な表現をされている。

目的

C.P.用語「I.I.」の定義を調査する。

方法

調査媒体は国立国会図書館所蔵のC.P.関連書籍とした。キーワード「カイロプラクティック」、条件「図書」、件名「カイロプラクティック」、分類コード「SC(医療)」で検索した125冊から会議録等を除外した95冊を調査対象とし、I.I.の説明から特徴を抽出し、表を作成した。

結果

対象95冊中I.I.の説明有37冊、無58冊。日本語訳は「先天的知能」が多く、その内容には「環境に適応できる潜在能力」「伝達が阻害されると病気になる」「神経を介する」「生体にのみ存在する」などがみられた。

考察

類似や正反対な意味など、様々な特徴がみられ、これには日本語訳・テクニック・教育機関の違いが考えられる。C.P.は哲学・科学・芸術と表現される。C.P.がC.P.たる所以の一つがこの哲学の部分であり、不可欠な用語が「I.I.」である。過去にも用語を調査したが、大前提となるI.I.を説明した書籍が一番少なく、関係者以外からの理解を得難い要因の一つと思われる。カイロプラクターはI.I.を適確に表現させる為に施術を行う。I.I.は神経を介し表現する為、神経機能障害に着目しているに過ぎない。単に神経機能障害への対処なら、カイロプラクターである意味は極めて希薄となり独自性はなくなる。日本のC.P.界は「I.I.」を始めとした哲学の統一見解を持つべきであると考える。

結論

現在「I.I.」の表現は多様であり、日本のC.P.界としての統一見解が無い。