一般社団法人 全日本カイロプラクティック学会
吉野俊司 松本吉正 長尾正博 松本清香 山崎善秀
背景
目の疲れを訴える利用者に、頚部や頭蓋調整の施術をおこなった際、目の疲れだけでなく視力まで上がったような気がするという感想が数人から上がっていた。
目的
カイロプラクティックで、低下していた視力が回復した一症例を報告すること。
現病歴
42歳 男性 Kさん 営業職 主訴は、腰痛と肩こりでX-1年11月に来院。X年4月以降は健康維持のため月に1度の施術を継続中。小学校の高学年ころから急に右の視力が悪くなり、回復はあきらめていた(それ以前は両目とも2.0)。「施術後、毎回一時的に視力が回復している」との報告を受け、X年12月、視力の回復も目的の一つとして施術を開始。施術開始前は右0.6、左0.8(裸眼)。
所見・評価
視診より、前頭骨が形成する眼窩上部の右側が下がっていた。眼窩下部の頬骨は、同じ高さになっており、姿勢変化から頭部が傾斜することで前頭骨に傾きが発生し、右の眼窩が狭くなることで眼球が圧迫されたために、視力が低下したものと推定した。
治療
カイロプラクティックの施術を行った。具体的には、姿勢の改善を目的に、椎間関節の矯正。また、頭部では、前頭骨の傾きの原因と思われる縫合を調整した。
経過
施術前後に、簡易式視力表を用いて裸眼で検査した。
X年12月、初回施術時の視力検査、(右)施術前0.6、施術後0.9、(左)施術前0.8、施術後1.5。2回目施術時、前(右)~(左)、後、(右)~(左)。4回目の施術では、(右)施術前1.2、施術後1.5、(左)施術前1.5、施術後2.0まで回復した。その後は、これまでの健康維持目的に加え、視力低下を防ぐために月1度の施術を継続している。
考察
カイロプラクティックで、姿勢安定による頭部傾斜の改善と頭蓋調整をすることで、両眼の眼球への圧迫が軽減されたと考える。
結論
本症例により、カイロプラクティックで視力の回復ができた可能性がある。
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- 2021年, カイロプラクティック, 日本統合医療学会, 視力