一般社団法人 全日本カイロプラクティック学会
松本 吉正 松本 清香 吉野俊司 長尾正博 山崎善秀
【背景】
超高齢化社会において問題のロコモティブシンドロームやフレイル等の運動機能低下がカイロプラクティックの臨床では重心変化で改善する場合がある。
【目的】
78歳女性がカイロプラクティック施術で歩行改善した一症例を報告する。
【症例】
Mさん78歳、女性、主訴:歩行困難
【現病歴】
X-4年右鎖骨骨折で入院。姿勢の保持が難しく歩行困難となった。整形外科受診結果、胸部T11圧迫骨折と診断。コルセット使用により更に歩行困難となった。動作全般に支障をきたし、X年3月より施術開始。
【所見】
椎骨の変位の為動作制限をうけ重心移動が困難となり、歩行や体勢変化の障害に繋がっている。
1か月毎に、X-Rayにて脊柱骨盤部の確認。Functional Independence Measure(FIM)によるADL評価(運動項目内の移動についての2~14点で評価)
毎施術前後に写真により重心位置と姿勢の確認。動作状態は、問診による本人評価と「動けない」が0㎜「動きやすい」が100㎜のVASを用いた。
【治療・経過】
施術は週2回行った。
〇初回時 X-RAY:前傾15°(標準0°)仙骨基底角1°(標準30°)、ADL評価:4点、重心:後方9.7%(標準0%)、動作状態:VAS=12㎜
本人評価:座位・臥位とも苦痛。日常動作が出来ない。
〇1ヶ月後 X-RAY:前傾8°、仙骨基底角7°、ADL評価:14点、重心:前方2.5%、動作状態:VAS=85㎜
本人評価:屋内動作は問題なし。屋外動作は不安あり。
その後も施術継続中。
【考察】
X-RAYや重心の変化は、本人評価のVAS値やADL評価との相関関係を示していると考えられる。そのことからカイロプラクティック施術が高齢者における日常動作の一つである歩行改善の一助となったと考察する。
【結論】
本症例では、X-RAY・姿勢・症状の変化から、歩行改善ができた可能性がある。
- 投稿タグ
- 2021年, カイロプラクティック, フレイル, ロコモティブシンドローム, 抄録, 日本統合医療学会, 歩行改善