一般社団法人 全日本カイロプラクティック学会
◎山崎善秀 吉野俊司 松本吉正 長尾正博
目的
病院で「器質的に異常なし」と診断を受けても体の不調に悩まされている場合にカイロプラクティック(以下カイロ)で諸症状が緩和されている事例がある。「器質的に異常なし」と診断され、長年苦しんでいたバイク事故の後遺症がカイロで緩和された一症例を報告する。
方法
Kさん、女性、72才、事務職、主訴は右股関節及び右頚部の張りと痛み。X-5年前、バイク事故で右膝蓋骨骨折。骨折の完治後、右股関節及び右頚部に張りと痛みが発症。X-Ray検査で器質的に異常なしと診断。1か月間、電気治療とマッサージのリハビリテーションを受けたが改善せず、本人の意思で中断。以後5年間、接骨院や自己ストレッチ等を継続していたが、右股関節及び右頚部の張りと痛みが治まらず、精神的にも悩まされていた。X年6月、親族の紹介で来院。初診時、脚長は右足が左足より2㎝短い。右股関節内旋角度10°VAS 60。頸部伸展角度20°VAS 60。骨折する程の衝撃で体全体のバランスが変化し、長時間座る状態が続くと筋肉の張りや痛みが生じ、日常生活にも支障が出てきていると考えた。評価には関節可動角度と痛みにVAS値を用いた。
結果
X年6月、全身の骨格調整のためカイロを行なった。カイロは初診を含め約10日間隔で合計5回行った。5回施術後、右股関節内旋角度40°VAS 10、頚部伸展角度50°VAS 0。左右の脚長は揃い、筋肉の張りも無くなった。
結論
交通事故で膝蓋骨を骨折する程の衝撃を体に受けたことにより、筋骨格系全体のバランスが崩れ、神経圧迫や筋緊張等の事故後遺症状が続いていたと考える。カイロを適用したことによる体の機能的な問題の解消は、患者が長年感じていた精神的な問題の解消にも繋がったと考える。本症例において「器質的に異常なし」と診断され、長年苦しんでいたバイク事故の後遺症がカイロで緩和された可能性がある。
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- 2023年, カイロプラクティック, 原因不明, 後遺症, 統合医療