肩関節周囲炎(四十肩)に対してカイロプラクティックが有効であった一症例

(社)全日本カイロプラクティック学会
森田全紀、吉野俊司、小野久弥

 [目的]

肩関節可動域減少とそれに伴う疼痛に対してカイロプラクティックが有効であった一症例を報告すること。

[症例]

40才、女性。主訴は右肩関節の疼痛と外転障害。

[現病歴]

X年3月仕事中に右肩に激痛が走り右腕を挙上出来なくなった。病院でレントゲン、MRI検査をしたが骨に異常なく肩関節周囲炎と診断を受けた。服の脱着が 困難な程痛みが強く、今は鎮痛剤の服用とリハビリ、電気治療を行っている。疼痛はやや改善したが肩関節の可動障害には改善なし。担当医からは経過観察との ことであったが変化なく、痛みを解消するため当院に来院した。

[所見]

問診や徒手検査等の結果、肩に疼痛が発症し外転できなくなったと思われる。正常な腕の外転可動域は180°だが、右腕外転の自動運動は60°他動的な肩関節の可動域が100°あり肩関節は正常と判断し除外した。しかし肩甲骨・鎖骨の可動域が、脊柱の歪みから筋肉・神経系のトラブルにより、残りの80°に動きが制限 されたものと思われ、カイロプラクティック適応と判断した。

[評価]

施術前に肩関節疼痛の程度をVAS値で判定し、外転角度の比較を行った。

[治療・経過]

X年X月に初診で来院。関節可動域と神経伝達障害の改善を目的にカイロプラクティックを行った。初診時施術前のVAS100・外転100°(以下同順)、2回目70・130°、3回目40・170°4回目10・180°の改善がみられた。

[考察]

カイロプラクティックは筋肉の炎症による肩関節の可動域減少や神経伝達障害を改善し、肩関節の挙上に伴う痛みを軽減できただけでなく、可動域を正常程度に回復させることで体の不調を解消・改善することができると考える。

[結語]

肩関節可動障害とそれに伴う疼痛に対してカイロプラクティックは有効である可能性がある。

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