地域包括ケアの在り方

一般社団法人 全日本カイロプラクティック学会
大槻佳広、松本清香、長尾

【背景】

高齢社会が進み、医療・介護の現場において、今後に向け様々な問題が山積状態である。社会保障はなくてはならないものにも関わらず、今後の社会保障において明るい見通しがあるとは言い難い。本来なら国策として行うべきものではあるが、行うことができないことが現状で地域に委ねていると言えよう。様々な自治体が取り組んでいる地域包括ケアは未だモデルケースが確立されていないと言っても過言ではない。そういった中、社会保障制度が変わりつつあるが、根本的な考え方が保険に依存した形のように思えてならない。また現存する地域包括ケアは名称とは裏腹に、高齢者に特化したものが多く、若年層に対するケアは少ない。このままではすべての人が安心安全を担保された社会保障であるとは考えにくいと考える。

 【目的】

予防を重視した地域包括ケアを提言すること

 【方法】

地域包括ケアに関する文献を参考に地域包括ケアの在り方を考察する

 【考察】

多くの文献で、医療・介護を中心に書かれている。加齢による衰えや体調不良を訴えることは必然と言え、社会保障が必要となることも当然だが、国策では賄えないことで、地域に委ねられている現状で、医療・介護を中心に論じられることに違和感をおぼえる。より多くの人が天寿を全うするために、老いや衰えを緩やかに向かえることが望ましく、そのためには予防は最重要であると考える。ただ予防も自助努力だけであっても、また医療施設でも予防には限界がある。現状では行政で賄うことも極めて難しいため、既存の社会保障制度とは別の枠組みで自己責任の伴う新たな制度設計が必要と考える。予防を推奨するにあたって、医療・福祉をはじめ、様々な分野がより連携を図り、行政が統括するものが望ましいと考える。

 【結語】

予防を重視した地域包括ケアには新たな枠組みが必要である。

©2016 All Nippon Chiropractic Association
無断転載を禁止します。