日本国内の医療施設と医業類似行為施設の現状

一般社団法人 全日本カイロプラクティック学会
小野 久弥、山崎善秀、小山尚、松本吉正

【背景】

昨年の日本統合医療学会山口大会において、関西2府4県の医療施設と医業類似行為施設の現状について発表した。今回、更に関西から全国へと展開して医療施設と医業類似行為施設の現状を調査した。

【目的】

医療施設と医業類似行為施設の普及状況や種別、資格などを調査して実数を把握しその結果を考察すること。

【方法】

国内の医療施設数、国家資格者数などを、厚生労働統計一覧全国医療施設統計分類表2016年3月発行から、またその他の医業類似行為施設数は、NTTが提供する電話帳iタウンページインターネット版(2016年5~6月)に登録されている施設を検索して件数、種別、資格などを調査した。

【結果】

【施設総数316,016件】

医療施設:病院8,453件、一般診療所101,162件、歯科診療所68,843件
医業類似行為施設:「鍼灸、あん摩・マッサージ・指圧」29,563件、柔道整復34,489件、「整体・カイロ・療術系」73,506件

【国家資格者数】

医師311,205人、歯科医師103,972人、「はり師・灸師」215,179人、「あん摩・マッサージ・指圧師」113,215人、柔道整復師63,873人、「整体・カイロ・療術系」0人であった。

【考察】

医業類似行為で国家資格化されている「鍼灸、あん摩・マッサージ・指圧」、柔道整復などの施設数は総数の20%を占める。また「整体・カイロ・療術系」においては国家資格ではないが、しかしその施設数は総数の23%をも占めていて、いわゆる医療施設以外の医業類似行為施設トータル数は、全体の43%にも及ぶ。
この結果は、制度的治療システムである近代医療以外の場や方法で、また医師以外の施術家により、疾病の予防、健康の維持・増進また、相補・補完医療として国民の支持を得ているものと考察する。

【結語】

医業類似行為施設数は、国家資格化有無に関わらず、地域性はあるが、その数は総施設数のほぼ半数に及ぶ。この事実は、近代医療とその他の医療が相補・補完関係にあり、一つの医療システムを成していると言える。

【キーワード】医業類似行為、国家資格、利用者

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