腰痛患者におけるその他の脊柱の痛みの動向

一般社団法人全日本カイロプラクティック学会
吉野俊司、大槻佳広

目的

主訴である腰痛患者の施術前後の、副訴である脊柱の痛み(頸部痛・背部痛)の変化からカイロプラクティックの可能性を検証する。

方法

調査期間は2014年㋃1日から2016年3月31日までの2年とした。当院電子カルテの施術記録のうち、データ利用に同意いただいた当院利用者を対象に、主訴・副訴の施術前後に確認している簡易型のペインスケールデータを用いた。(副訴においては複数回答が含まれる。)

結果

調査数延べ91件、副訴として頸部痛を訴えた49件、施術後数値の減少があったものは34件69.39%、変化が無かったものは14件28.57%、数値の増大は1件2.04%であった。背部痛を訴えた19件、施術後数値の減少があったものは17件89.47%、変化が無かったものは2件10.53%、数値の増大はなかった。数値の増大の1件は一時的なものであった。

考察

主訴として腰痛を訴えた91件中、脊柱における副訴、総数68件のうち51件(75.00%)が改善し、16件(23.52%)は変化がなかった。このことから、主訴と副訴の原因は、同一あるいは関連性のあることが示唆されると考える。調査の結果、カイロプラクティックの施術後、改善傾向が多い理由として、患部(主訴)だけに特化して診るのではなく、身体全体として診立てていることが要因と考える。
しかし、改善傾向の見られなかった17件は主訴とは必ずしも関連性があったとは言えないため、副訴に対しての個別のアプローチが必要と考える。

結語

主訴である腰痛患者の施術前後の、副訴である脊柱の痛み(頸部痛・背部痛)にカイロプラクティックは有効である可能性がある。

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