一般社団法人 全日本カイロプラクティック学会
山崎善秀 吉野俊司 松本吉正 長尾正博

【目的】

当院ではカイロプラクティック後、簡単な運動指導で体幹バランス(以下、バランス)が安定し、良好な状態が維持できることが認められている。そこで、カイロプラクティックで改善した膝症状が運動指導で維持できた一症例を報告する。

【方法】

Mさん、70才、女性、無職。主訴は左膝窩の腫れと疼痛。X年12月、2か月前より歩行困難を感じていた左膝窩に腫れと痛みが発症、整形外科を受診。MRI検査で左膝靭帯の疲労性部分断裂と診断を受ける。湿布を処方されリハビリテーションはなかった。歩行困難が1か月続き、当院に来院。初診時、左膝関節屈曲時に違和感あり。左股関節屈曲45°、VAS 60、左膝関節屈曲100°、VAS 80。バランスの崩れにより左膝関節に過剰な負担が掛かり、腫れと疼痛が発症していると考えた。また再発予防に、施術と併用して下肢の連動した動きが滑らかに出来るような運動の処方が必要と考えた。可動域評価は左股関節と左膝の屈曲角度を用い、疼痛評価はVASを用いた。バランス調整のためカイロプラクティックを行った。

【結果】

施術後、体重が両脚に均等に掛かるようになり、左膝関節屈曲も出来るようになった。バランスの崩れの再発防止を目的に下肢の動きを整える運動を1日2~3回程度行う指導をした。その後約10日間隔で3回施術後、左股関節屈曲110°、VAS 10、左膝関節屈曲130°、VAS 20。左膝窩の腫れと疼痛は無くなった。その後も1日数回運動をすることで膝の良好な状態は維持出来ている。

【結論】

症状の原因はバランスの崩れで左膝に過度な負担が掛かったと考える。カイロプラクティックの調整と1日数回行う運動で左膝関節への負担が減少し、下肢が連動し良好な状態の維持に繋がったと考える。本症例よりカイロプラクティックで改善された膝症状が、運動指導で維持できた可能性がある。