長尾正博 山崎善秀 小山尚

目的

超高齢社会の進展に伴い、複合的症状及び疾病を抱える高齢者予備軍が増えている。そこで、複合的症状及び疾病を抱える患者に対し、カイロプラクティックの効果がみられた1症例を報告する。

症例

患者は初診時49才(2013年現在62才)女性で、主訴は複合的症状(腰痛、頭痛、嘔吐、全身の関節痛等)であった。

既往歴・現病歴

34才の子宮内膜症による子宮卵巣摘出手術に始まり、354才腰椎L5分離賞、38才膠原病(混合性結合組織病)発症により近隣の病院に1週間入院。43才腰椎L5すべり症。膠原病発症後、4度の転勤の度に病院を変更しながら通院していたが、全身の痛み(腰痛、頭痛、関節痛など)が軽減しないので本院を受診した。

所見

施術前は腰痛VAS=40、頭痛VAS=90(月1~2回発症)、頭痛に伴う嘔吐、そして全身の浮腫と痛み(関節痛・圧痛ともにVAS=30)、空腹時の胃部不快感がみられた。

評価

痛みの効果判定にはVAS(今まで感じた最大の痛みを100とする)を用いて評価を行った。

経過

49才からカイロプラクティックを隔週毎に行った。徐々に主訴が改善され、1年後には腰痛VAS=10、頭痛VAS=0、頭痛に伴う嘔吐もなくなり、全身の浮腫と痛みもなくなった(関節痛・圧痛ともにVAS=0)。しかし、膠原病治療薬の影響と思われる空腹時の胃部不快感は残っている。

考察

カイロプラクティックの介入は、複合的症状及び疾病を抱えた49才患者の症状改善と同時にQOL向上に貢献できたと考える。複合的症状及び疾病を抱える高齢者予備軍が増えてくることを考慮し、いりゅおう及び介護福祉施設とも連携し、超高齢社会に備えることが必要と考えられる。

結語

カイロプラクティックは、複合的症状及び疾病を抱えた患者のQOL向上に貢献できると考えられる。