一般社団法人 全日本カイロプラクティック学会
長尾正博 吉野俊司 松本吉正 山崎善秀

【目的】

肋骨間の疼痛がカイロプラクティックで改善できた一症例を報告する。

【方法】

 Kさん、35歳、女性、主婦(1歳児の育児中)、症状は左肩甲骨下部肋骨間の疼痛。
 X年2月、突然、左肩甲骨下部に原因不明の激痛が出現・継続し、快適に睡眠をとることも出来ない状態だった。肋間神経痛と自己判断し、当院を来院した。
 疼痛の評価はVAS 0~100を用いた。
・左第7-8肋骨間の後面に異常緊張を伴う強い疼痛VAS 90。
 ・疼痛により動作が制限されQOLが低下。
 ・胸椎上部に異常緊張があり、円背(猫背)で可動域が減少。
 ・左右肩甲骨下角を比較すると左が1cm下方変位。
 カイロプラクティック理論による診察の結果、左右肩甲骨周りの筋骨格アンバランスにより、肋骨間の疼痛が発生していると診断した。
 X年2月、全身バランスと関節可動域改善を目的にカイロプラクティックを行った。

【結果】

 1回の施術で全身バランスと関節可動域が改善されて左右肩甲骨下角の高さは揃い、疼痛はVAS 90からVAS 0になった。施術後に屈曲・伸展・回旋等の基本動作が改善され疼痛が消失していることを確認した。
 予防として、円背にならないように注意し、首・肩甲骨周囲の可動域を維持する運動を指導した。

【結論】

神経筋骨格系を総合的に判断するカイロプラクティック理論に基づく施術により、左右肩甲骨と上部胸椎周り筋骨格系の可動域を回復させることで全身バランスと関節可動域が改善し、左第7-8肋骨間の神経圧迫が開放されて疼痛が消失したと考える。それによって、動作制限なく、快適に睡眠もとれるようになり、QOLの向上に役立ったと考える。
 本症例により、肋骨間の疼痛がカイロプラクティックで改善できた可能性がある。