腰痛を主訴とする施術からみた副訴を含む全体の改善状況を調査する。

全日本カイロプラクティック学会
吉野俊司 松本吉正、大槻佳広

背景

カイロプラクティックでは、症状ではなく状態に対する施術を行っている。そのことを「サブラクセーションをアジャストする」と言っている。主訴は、来院動機の症状ではあるが、我慢をしている他の症状(副訴)も同時に持っている場合が多い。主訴を含む複数の症状の原因が同じ場合、施術を行うことで主訴だけでなく副訴も同時に改善された実例が多々ある。

目的

腰痛を主訴とする患者にカイロプラクティックを用いることで副訴の改善状況を調査すること。

方法

調査のカルテ利用に承諾の当院利用者による電子カルテ2年分(2014年4月1日~2016年3月31日まで)につき、1カルテに4症状記載の施術記録を調査。
最初の症状(主訴)が腰痛である電子カルテの10段階簡易型ペインスケール欄が無記入及び施術前後が0のものを除く91件の4症状で合計数値、主訴である腰痛の数値、2~4番目の副訴単体の数値、それぞれの施術前後差を集計、評価した。

結果

4症状合計数値の前後差では、マイナス3件3.30%、変化無し6件6.59%、改善82件90.11%であった。(以下同順)
主訴:腰痛では、3件3.45%、22件25.29%、62件71.26%であった。
副訴総数273件では、6件2.50%、50件20.83%、184件76.67%であった。

考察

主訴である腰痛の改善71.26%に対し、副訴の改善76.67%は、主訴以上に副訴の改善がみられる。施術全体を表す4症状合計数値の前後差では改善が90.11%であり、部分的には症状の緩和にばらつきがみられるが、1施術において、主訴である来院時の特定の症状が改善しているというよりは、各部位に出ていた諸問題が全体として改善されていると考える。

結語

カイロプラクティックは症状ではなく、神経系の健全さに影響を及ぼす機能的、構造的または病理的関節変化の複合体にアプローチする。

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