(社)全日本カイロプラクティック学会
大槻佳広 山崎善秀 小野久弥

目的

リハビリ終了後、QOLの向上、維持を図るためカイロプラクティックが有効的であった一症例を報告すること。

症例

41歳、男性
リハビリ終了後、可動域の減少に伴い、QOL維持を目的に来院

現病歴

X年の1年前、バイク事故により、頸椎7番、胸椎6番、胸椎7番、胸椎8番を骨折。手術を受けプレート固定。X年、病院でのリハビリを終え、来院。脊柱に上下方向への衝撃で痛みが出る。

所見

肩関節・股関節・背部の筋緊張や背部における感覚障害といった症状は、プレート固定による脊柱の可動及び全身の可動域減少によるものと判断した。

評価

肩関節の左右外転角度の比較をした。

経過

可動域の減少を避けるためにプレート固定の関節を含め、脊柱の関節に対し、手技でアプローチ。肩関節、股関節など筋緊張のみられる関節に対し、抵抗運動を行った。
初回、来院時、肩関節外転は35°前後。施術後は40°。2週間に1度の間隔で半年間の定期的な施術で外転角度が60°。3週間に1度の間隔に変え、1年2か月で外転角度が90°。4年間、3週間に1度、定期的に施術を行い、背部の感覚障害が皆無になった。同時期に固定のプレートを摘出した。
X+8年、110°まで可動できる状態。

考察

事故による損傷箇所だけでなく、関連していると思われる全身の可動域減少が見られたが、定期的に関節及び軟部組織に対し他動させたことと抵抗運動で関節可動域の回復が実現したと考える。本症例はあくまで本人の強い希望と施術者との信頼関係で実現した事柄であり、すべての事故の後遺症に対し、カイロプラクティックが最適な治療であるとは考えていない。今後も事故の後遺症は残るであろうが、フルマラソンや自転車の200kmロードレースを完走することができた。QOL維持向上に施術が有効と考える。

結論

リハビリ終了後、QOLの向上、維持を図るためカイロプラクティックが有効的であった。