長尾正博 小野久弥 吉野俊司 大槻佳広
一般社団法人 全日本カイロプラクティック学会(ANCA)

【目的】

正座ができなかった患者の両膝可動域がカイロプラクティック施術によって改善できた一症例を報告すること。

【症例】

54才、女性 症状は、両膝とも痛みはないが曲がりにくく正座ができない。更に、右足下腿外側痛あり。

【現病歴】

  • X-10年に正座ができなくなった。
  • 数件の整形外科で診察を受けたが、いずれの病院も変形性膝関節症の診断であった。
  • X-3年、整形外科で医師より「膝関節の軟骨が直接当たってデコボコになっている。10年後は人工関節が必要になる」と説明を受けた。
  • X-1年、右足下腿外側痛VAS=80が発生した。
  • X年1月来院、カイロプラクティック施術を開始した。

【所見・評価】

X年1月(痛みの評価にVAS=0~100を用いた。)

  • 正常時における正座の膝屈曲165°に対して、両膝曲は130°であった。
  • 右足下腿外側痛VAS=80あり。
  • 足関節の背屈は参考値20°に対して、左右とも0°であった。
  • 足関節の底屈は参考値45°に対して、左右とも50°正常であった。

【治療・経過】

X年1月、カイロプラクティック施術により両膝の屈曲は130°から145°まで改善した。その後、両膝屈曲は2月に150°、3月に155°まで改善、6月に両膝とも正座ができるようになり、右足下腿外側痛も解消した。足関節の背屈は左右とも10°まで改善した。ただし、正座時は膝上に突っ張り感がある。

【考察】

10年間正座できなかった両膝が、カイロプラクティック介入により6ヶ月で正座ができるようになった。整形外科医から両膝の人工関節が必要になると説明を受け、他に治療法は無いものと考えていた患者の両膝がカイロプラクティック施術によって正座可能となり、痛みも無くなったことから、手術を回避できる可能性ができたと考えられる。

【結論】

膝痛は人により原因が異なるが、カイロプラクティック施術によって改善し、手術を回避できる可能性もある。