腰痛を主訴とする患者の頭痛を軽減した一症例

全日本カイロプラクティック学会
吉野俊司 山崎善秀 松本吉正

【目的】

腰痛を主訴とする患者の頭痛が軽減できた一症例を考察する。

【症例】

32歳男性。主訴は腰痛だが、頭痛も時々感じる。

 【現病歴】

21歳の時に腰部椎間板ヘルニアの手術を受けたが、その後も毎年腰痛になるため、X年6月に当院を受診。
その際、施術記録を利用する了解は得ているが、後日改めて症例研究への了解を得た。

【所見】

視診により、胸椎、腰椎の生理弯曲の減少と、下部腰椎への負荷増大傾向が診られた。
徒手検査では、腰部は伸展5°屈曲12°SLR右70°左75°、頚部は、下部に炎症があり、触診では、環椎後頭関節に可動抑制があった。

【評価】

痛みの判定には、VAS値を用いた。

【治療・経過】

腰部の可動性回復を目的に、カイロプラクティックをおこなった。主訴である腰痛は、初回来院時施術前VAS 80であった。2・3回目の施術前に回旋、側方への歪みを確認。3回目には施術前VAS 35(術後10)と推移している。また、治療時に若いころから(20歳ころより)左目奥に圧迫を感じる頭痛を自覚していた事が発覚。頭痛での病院受診歴はな い。頭痛の症状に関しては、病院への受診を勧めた。しかし、3回目の施術前に頭痛VAS 60であったが術後VAS 10に減少。その後頭痛なし。

【考察】

腰痛の原因である腰部の可動回復のため、胸部や頸部を矯正する必要があった。腰痛改善と同時に頭痛が軽減されたことは、カイロプラクティックが複合的に発生している諸症状を軽減することが可能であることを示唆していると考える。
課題として、主訴以外の他の諸症状についても今回の頭痛と同様の事例があるため、更なる調査を行う必要があると考える。

【結語】

カイロプラクティックは、主訴発症の原因を軽減することで頭痛といった主訴以外の諸症状も同時に軽減できる可能性がある。

©2015 All Nippon Chiropractic Association
無断転載を禁止します。