関西2府4県の医療施設と医業類似行為施設の現状

一般社団法人 全日本カイロプラクティック学会
小野久弥、小山尚、松本吉正

【目的】

2014年6月に「ベビーマッサージを受けた乳幼児が数日後死亡する」と言う事故が発生したが、その行為を行った施設は法制度化された施設ではなかった。そこで法制度化された医療施設と、その他の(法制化されていない)施設などの普及状況や種別、資格などの現状を施設利用者に啓蒙を行い、今後の受療行動の一助となるべく調査する事。

【方法】

関西2府4県(大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県)の医療施設数、国家資格者数などを、厚生労働統計一覧全国医療施設統計分類表2015年4月発行から、また医業類似行為施設数は、NTTが提供する電話帳iタウンページインターネット版(2015年3~4月)に登録されている全施設を検索して件数、種別、資格などを調査した。

【結果】

施設数

病院1,279件、一般診療所19,062件、歯科診療所11,649件、医業類似行為施設「鍼灸、あん摩・マッサージ・指圧」8,287件、「柔道整復」7,047件、ベビーマッサージ等が含まれる「整体・カイロ・療術系」は8,851件であった。

国家資格者数

医師54,269人、歯科医師15,901人、「はり師・灸師45,823人、「あん摩、マッサージ・
指圧師」18,189人、柔道整復師13,871人、「整体・カイロ・療術系」は0人であった。

【考察】

現代医療は国家により法制度化された医療である。また「あはき法、柔道整復師法」は法制度化医療の枠外で限定された半制度化医療である。しかし「整体・カイロ・療術系」には国家資格制度はないが、その施設数は人口10万人対施設数で施設総件数の1/4を占める。またカイロプラクティックは国家資格ではないが国際基準であるWHO教育基準に準拠するカイロプラクター(*)が70名ほど存在した。*日本カイロプラクティック登録機構

【結語】

日本の医療は、国家により制度化された現代医療と、半制度化された医業類似行為、またその他の医業類似行為に分類されるが、制度化された医療の枠外でその他の医業類似行為はよく利用されている。

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