カイロプラクティックによる月経前後の腰部痛改善の検討

一般社団法人 全日本カイロプラクティック学会
森田全紀、松本吉正、松本清香

〔背景〕

カイロプラクティックは背骨の矯正のみと一般的には認知されているが、カイロプラクティックにより月経前後の腰部痛改善等を臨床例で経験する。カイロプラクティックによる月経前後の腰部痛に対する改善を調査(検討)した報告はほとんどない。

〔目的〕

カイロプラクティックによる月経前後の腰部痛に対する改善の有無を調査し検討する。

〔方法〕

2013年4月から1年間、当院で初診の問診時に、腰部痛の発症時期を月経前後とその他に鑑別した。月経前後に腰部痛を訴えた女性で年齢・出産経験の有無により分類調査した。介入方法はカイロプラクティックとした。
調査期間は初診時より6ヶ月間とし、初診時より腰部痛が軽減された状態を改善とした。

〔結果〕

調査人数は49名を対象とした。
年齢別は、10代13名中11名改善、20代16名中14名改善、30代11名中9名改善、
40代6名中5名改善、50代3名中3名改善。
出産経験の有無では、出産経験有り20名中20名は改善した。
出産経験無しでは29名中22名が改善した。

〔考察・結論〕

調査結果によりカイロプラクティックは年代別、出産経験の有無、医療機関の受診に関わらず、月経前後の腰部痛の改善に有効な療法のひとつであると考えられる。
人体(関節)機能可動域に及ぼす筋群の変動により機能的・構造的に発生する神経伝達障害により引き起こされる腰椎・仙骨・腸骨の角度変動を起こす部位の筋群緊張を解消(弛緩)することにより正常化が出来ると考えられる。
月経前後の腰部痛においても、生活習慣により影響されることが多いために問診時の情報収集を必要十分におこなうことが重要であるとともに、臨床試験に?げることでエビデンスを構築することが必要と考える。
月経前後の腰部痛は多岐にわたる症状も誘発されると考えられるために、機能的・構造的以外にも内科的症状も考慮する必要がある。
課題として50代では閉経している症例もあり、別途の調査も必要と考えられる。

〔結語〕

カイロプラクティック介入は月経前後の腰部痛を軽減できるひとつの有効手段である可能性がある。

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