一般社団 全日本カイロプラクティック学会
吉野俊司 松本吉正

背景

カイロプラクティックは、脊柱以外の関節も矯正の対象にしている。頭蓋骨の矯正により、目の症状が改善している例が見受けられる。

目的

カイロプラクティックによる目の疲労感に対する有効性を報告すること。

方法

2009年4月1日から2020年1月31日までの当院電子カルテデータから、目の症状を訴える66症例について集計した。評価は、0から10までの簡易的なVAS値を用いて、施術前後で数値の減少・無変化・増大に分類した。

結果

減少は57件(80.3%)、無変化は13件(19.7%)、増大は0件(0%)であった。減少の内1の変化は8件(12.1%)、2~4の変化は25件(37.9%)、5~8の変化は20件(30.3%)だった。

考察

 減少が多かったことは、目の疲労感がカイロプラクティックで改善できる場合も多いと考える。無変化は別の要因が考えられる。増大が皆無であったことは、カイロプラクティックが有害ではない可能性があると考えられる。目の症状の一部は、眼窩腔にかかる圧力が増大し変調をきたすことがあると考えられる。それらの症状に対し、頚部や頭蓋への矯正が有効であったことから、眼窩腔にかかる圧力が目の症状の起因になったと考える。なお、今回の調査の中に頚部や頭蓋への矯正により視力が改善された例もあった。
 今後の課題として、視力改善と頸部や頭蓋の関連性も調査を行いたい。

結論

 本調査では、カイロプラクティックは、目の疲労感に対して有効であり有害ではない可能性がある。