一般社団法人 全日本カイロプラクティック学会
大槻佳広 小野久弥 松本吉正

【背景】

医療費の増加が社会問題になっている。医療費の増加の要因は6割近くは高齢化によるものと厚労省が発表している。医療費の中には柔道整復、鍼・灸、マッサージの徒手療法の療養費も含まれている。カイロプラクティックは徒手療法の一つであるが、国家資格でないため正確な数値での受療状況は分からないので、国家資格のある徒手療法でデータを用いた。

【目的】

医療費から見た徒手療法(柔道整復、鍼・灸、マッサージ)の各種療養費の割合の推移から手技療法の需要変動を推察すること。

【方法】

平成12年度~平成27年度の厚生労働省発表による医療費、柔道整復、鍼・灸、マッサージの各種療養費の推移を集計。本研究参加者には、研究目的、方法、参加は自由意志で拒否による不利益はないことを文書と口頭で説明を行い、同意を得る等の倫理的配慮を行った。

【結果】

H.12、柔道整復2,748億円(0.91%)鍼・灸66億円(0.02%)マッサージ103億円(0.03%)、~中略~、H.27、柔道整復3,789億円(0.94%)鍼・灸394億円(0.09%)マッサージ700億円(0.17%)

H.12とH.27の比率、医療費(132.91%)柔道整復(137.88%)鍼・灸(596.97%)マッサージ(679.61%)

【考察】

鍼・灸、按摩・マッサージの療養費では約6倍以上に増加しているが、高齢化が進んだことで増加しているのであれば、増加率が高い鍼・灸、マッサージの位置づけが変化していることが考えられる。柔道整復において増加が少ない理由として制度変更があったことが考えられる。国民健康保険での療養費は治療目的でなければ認められていない。しかし、療養費の増加と高齢化と関連があるのであれば、詳細な調査が必要と考える。

【結論】

療養費は医療費の増加率以上に増えているのが現状であり、徒手療法の需要増加している。