社)全日本カイロプラクティック学会
吉野俊司 森田全紀 松本吉正 山崎善秀

背景

カイロプラクティックは筋骨格系の問題だけではなく、椎間孔から出ている脊髄神経の障害改善も目的としている。

目的

カイロプラクティックの介入による神経反応変化の可能性を探る事。

方法

研究目的に利用することの了承を得た当院利用者100名分(2011年2月19日~2012年5月12日)の初回スクリーニング検査(可動域・整形外科テスト・神経学的テスト)を行った検査(施術)記録を使用した。神経に対する検査では、頸部の神経(C5~T1)、腰部の神経(L3~S1)までを対象に神経学的テスト(皮膚感覚・腱反射・筋力テスト)に反応が出た73名から、各神経・各検査項目それぞれ1項目を1件とし抽出した。検査はカイロプラクティック施術を行う前に陽性反応が出たものを施術後に再検査し、変化の有無を調べた。変化の種類としては、陰性変化・左右の感覚差減少・変化無し・左右の感覚差拡大の4種類とした。

結果

施術前に行った神経学的テストの陽性反応は118件。その中で陰性に変化したものは92件78%、左右の感覚差が減少した例は13件11%、変化無しは13件11%となっている。左右差が拡大した例はみられなかった。カイロプラクティック施術による神経反応の変化が90%弱あった。

考察

左右差の拡大が無かったことは、椎間関節が可動域の回復によって、歪みによる脊髄神経への障害が、カイロプラクティック施術によって無くなったという推察も可能と思われる。このことからカイロプラクティックは、神経障害を改善する可能が考えられる。今後の課題として、本調査では体性神経への介入であったが、自律神経への変化を通じて利用者の自覚症状改善が期待できる可能性があると考えられる。

結語

カイロプラクティックによって神経反応が変化する可能性が示唆された。