一般社団法人 全日本カイロプラクティック学会(ANCA)
長尾正博 山崎善秀 松本清香

目的

左足関節剥離軟骨摘出手術後の強い痛みと可動制限による歩行障害の患者が、カイロプラクティックの介入で人工足関節手術を回避できた一症例を報告すること。

症例

56才、男性、教員、症状は左足関節周辺の痛みと可動制限。

現病歴

X-16年ハンググライダー墜落事故で左足関節周辺損傷。2週間後にギブスを外した後も痛みがあるためMRI検査した結果、ショパール関節で軟骨剥離が2か所発見。2か月後の11月に剥離軟骨摘出手術。左足関節の可動制限はあるが痛みは無く、生徒と100m走ることもできた。
X-4年から左足関節周囲の痛みが強くなり受診したが、処置もアドバイスも受けられなかった。
X年2月、痛みが強く、本人が人工足関節手術を8月に計画していたが、カイロプラクティック体験施術で左足に体重をかけて歩行できた為、手術をやめた。

所見・評価

 評価=VAS値
 右重心、左足は痛みVAS=90で体重をかけられない。
 足関節可動制限あり。背屈=0°,底屈=5°
 他動運動で足関節とアキレス腱にVAS=90
 疼痛は、足関節可動改善と共に軽減される見込み。

施術・経過

X年2月、足関節の可動改善と疼痛軽減を目的にカイロプラクティックを開始。
月2~3回の施術で痛みが減少、関節可動域も改善。
X+1年3月、朝は支障なく歩行できるが、夕方に足関節の痛みVAS=60が出る。ハードな運動後は足関節VAS=60、アキレス腱VAS=90。施術の度に痛みの発生範囲は狭くなっている。
X+1年5月、足関節可動域は背屈=15°、底屈=35°まで改善した。

考察

 剥離軟骨摘出手術後、長年激痛に耐えた患者がカイロプラクティックにより1年2か月で痛み無く歩行できるまで改善できた。
 将来、医療機関とカイロプラクティックが協力する事で、より患者に優しい医療を提供できると考える。

結論

カイロプラクティックによって人工足関節手術を回避できる可能性がある。