腰部ヘルニア痛へのカイロプラクティックの即効性と継続施術による抗加齢効果

一般社団法人 全日本カイロ学会
長尾 正博 山崎 善秀 小山 尚

【目的】

腰椎椎間板ヘルニア痛に対するカイロプラクティック(以下カイロとする)の即効性とカイロ10年以上継続により、加齢に反して関節可動域が改善している一症例を報告すること。

【症例】

患者は男性、初診時66才で、症状は、腰椎L4-L5間の椎間板ヘルニアによる腰痛。

【現病歴】

X年2月、突然腰痛を発症。整骨院に週3回、3ヶ月間通院したが痛みは改善せず。病院のMRI検査で腰椎L4-L5間の椎間板ヘルニアと診断され、病院で週2回3ヶ月間治療したが痛みは改善せず。腰痛発症から6ヶ月間、症状は改善しなかった。

【所見・評価】

初診時の所見は、痛みの評価にVASを用いた。腰痛がVAS80、立位は前傾姿勢で、膝が30度屈曲し、L5が後方変位していた。

【治療・経過】

初診時に後方変位していたL5を前方へアジャストメント(以下アジャストとする)、腰痛はVAS80から40まで改善し、SLRは痛みのため検査不能な状態から20°まで改善した。膝の屈曲は30°から10°に改善した。一週間後2回目の施術でL5に残っていた後方変位を前方へアジャスト、腰痛はVAS20から0まで改善し、SLR20°から45°まで改善した。

週1回の施術で1ヶ月後には違和感も消失した。全身の関節可動域減少がL5を後方変位させた可能性が高いと判断。X年から全身の関節可動域改善を対象に月1回施術を継続し、10年以上再発せず。加齢と共に関節可動域は減少するものであるが、関節可動域は改善中である。

【考察】

腰椎椎間板ヘルニアへのアジャストは、相対禁忌とされている。症例では、患部に隣接する関節のアジャストや慎重なモビリゼーションでL5への負担が改善されたと考える。

【結語】

カイロで腰椎椎間板ヘルニアによる神経圧迫を軽減させ、痛みは1週間でVAS0まで改善した。カイロを月1回、10年以上継続により、再発予防と健康な日常生活の維持に貢献できている。

©2015 All Nippon Chiropractic Association
無断転載を禁止します。